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レゾナンスCafe Vol.046「夢の愛らしさと残酷さ〜ユングが遺した言語化しなかったもの」

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宝生明の夢01

夢は不思議なことを伝えてくれます。それはなぜでしょう?

夢はビジョンを与えてくれたり、顕在意識では理解できないことを理解させてくれます。
宝生明はかつてあまり夢を見ませんでしたが、「夢の或る性質」に気づくことで、夢を見てそれを文章にすることを覚えました。その「夢の或る性質」についてお話しします。

ユングはずっと自分のビジョンを文章化し、それにともない絵やマンダラを描き続けていました。そのノート「赤の書」が死後50年近く経って遺族の許可のもと2009年に公開されました。

それで明らかになったのは、ユングはその絵や文章を元に心理学の研究をしていたこと。さらに中国に伝わる瞑想書「黄金の華の秘密」と出会うことで「赤の書」の執筆をやめていたこと。当時は「赤の書」の存在は知られていませんでしたが、ほぼ同時期に開催されたセミナー(『ヴィジョン・セミナー』)の内容と付き合わせると、感動的な秘密が浮かび上がってきます。

ユングは『赤の書』のエピローグにこう書いています。

1959年
私はこの本に16年間にわたって取り組んだ。1930年に錬金術と出会ったことが、私をこの本から遠ざけた。終わりの訪れは1928年にやって来た。そのときヴィルヘルムが、錬金術的な性格の小冊子『黄金の華』のテキストを私に送ってくれたのである。その本の内容に現実への道筋を見出し、私はもはやこの本に再び取り組むことができなくなった。この本の内容は、表面的に捉える人には、それは狂気の沙汰かと思えるだろう。もし私が根源的な体験の圧倒的な力を受け止めることができなかったとしたら、実際にそのようなことになっていたかもしれない。錬金術の助けを借りて、私はついに、この体験を一つの全体の中に整理することができた。私は常に、その体験が貴重なものを含んでいることがわかっていた。またそれゆえ、それを一冊の「貴重な」、つまり高価な本にして記録し、そして追体験するなかで生じてきたイメージをできる限りうまく絵にすることが最もよいとわかっていた。この企てがどれほど人を驚かし、また不適切なものだったか、私にはわかっている。しかし、多くの苦労と方向転換にもかかわらず、私はそれに誠実であり続けた。たとえ私が決して他の/可能性を……

エピローグの最後が完結していません。そして、エピローグの文章は混乱しているようにも読めます。しかし、「夢の或る性質」を知ると、この一見混乱しているように読める文章の意味がわかります。

参考文献
『赤の書』 ユング
『ヴィジョン・セミナー』 ユング講演録
『黄金の華の秘密』(原典・太乙金華宗旨) ヴィルヘルム独訳 ユング解説
『個性化とマンダラ』 ユング
ほか

日時:2021年4月14日(水)19:45〜
会場:ZOOM利用
    URLはお申し込みの方にお伝えします
スケジュール
 19:45 開場〜ご歓談
 20:00 宝生明によるお話し。
 21:00 ご歓談
 22:00 閉会
会費:2,000円(お支払い方法はお申し込みの際にメールでお伝えします)
定員:15名
お申込:こちらのメールフォームからお願いします。
    http://www.houshouakira.com/modules/mailform/index.php?controller=form&id=3

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